製作記録

活版印刷やデザインなどの製作記録です

2026活版印刷カレンダー

活字組版でカレンダーを作り始めて4年目、今年のテーマは季節の暮らしです。季節の移り変わりについては毎年のカレンダー制作で意識はしていますが、今年はイラストモチーフ(凸版)を月ごとに添えることにして、かなり気を揉みました。

 

「季節」を毎年テーマにはしていますが、モチーフも描こうと思ったのは私の中で季節の風景がよりはっきりと輪郭を帯びたからです。昨年末から荒川区と埼玉県小川町の二拠点生活をしています。小川町は埼玉県の北西部にあり、わかりやすくいうと秩父より少しだけ東京よりの町、という感じでしょうか。特筆すべき町の産業は手漉き和紙です。四方を山に囲まれてた山間の町は、季節ごとに風景がずんずんと変わります。

 

私は生まれ育ちは海町で、進学で東京に出てきたので山の暮らしは人生初めて。この一年弱は山の自然の変化の多様さが本当に面白くて、外に出るたびに変化する空や山を見ては、宮沢賢治作品の世界に放り込まれたような気持ちになっていました。山って、自然の変化が本当にすごいですね。

と、語っていますが季節に敏感な丁寧な暮らしをしているわけではなく、基本はどこに暮らしても部屋にこもり気味で、たまに散歩をしては季節の変化に驚くのはどこに暮らしてもあまり変わりませんでした。ただ山暮らしでは変化の幅がわかりやすくなって、見る機会が増えたというか…。手元の画面を見ながら過ごす時間が増えすぎていたけど眼前に広がる景色があまりに大きく広くなって、見ざるを得なくなったというか。

どこに暮らしてもつぶさに季節の変化を見つけることができる人もいるかと思います。ただ、忙しなく変化する日々にいっぱいいっぱいで、気づけば季節が飛んだように変化している人も多いはずです。すこしでも季節の暮らしを感じたり、思い出すような端物になればと思い、モチーフを選び描きました。

今回の印刷色は和の色から選んだのですが、植物や風景など名前の由来が季節ごとに浮かぶのが文学的に感じられて和の色を選びました。

ここ最近は社会の変化が目まぐるしく、なんだか和という言葉を使うのが少し重たい気持ちになりました。どの世界にも素敵な色は溢れていて、私は身近な和の色を選び取りました。

まんまる〇をよく知っている方は、私(デザイン担当)が12枚も絵を描こうと思ったのはかなりの進歩というか、変化だと思ってくれるのではないでしょうか。自分ではとても驚いています。

12ヶ月の季節の風景をお楽しみください

 

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一月は白銀色。新年、雪、日の出をイメージしたモチーフです。


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二月は紅梅色。色名そのままモチーフも春の知らせの梅を。東京に住んでいる時は桜が春の花のイメージでしたが、小川は梅の方が見かける気がします。


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三月は菜の花色。

春に見かける黄色い花々は太陽の雰囲気のようで好きです。

 

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四月は若葉色。山の春〜夏にかけての緑の爆発具合たるや。雑草もぐんぐんと。

 

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五月は藤色。紫の花は初夏に多いですね。薔薇色とも悩んだのですが、薔薇色ってなんか違う意味合いがでてくるので藤色にして、モチーフはバラにしました。ツバメ、かなり近くを飛ぶためビビリの私は苦手です。


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六月は若竹色。モチーフは青梅です。

梅雨は苦手なのですが、青梅がたわわに実るところやスーパーに梅仕事コーナーができると季節を感じます。


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七月は水縹。モチーフは川です。

縹は藍色の仲間ですが、藍色より明るい青色です。 藍染の藍色の汁が糸に漂う様子を表していたのが由来とのこと。縹色をさらに水で薄めたような明るい水色で涼しげにしました。


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八月は藍色。モチーフは夜の海です。

私は静岡県の最南端近くの町で生まれ育ちました。電車は通っていない車社会の地元から、高校〜浪人生活の間、静岡市まで片道1時間ほどのバスで通学。帰り道はだいたい真っ暗で、地元に近づくにつれて砂浜沿いを走るバスの窓から見る夜の海が好きでした。

 

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九月は黄金。 稲穂が実る色とのことです。

たわわに実る稲穂と太陽とも月とも見える光、そして雀のモチーフです。雀は紋様はいろいろありますがどれも、本当に丸々としていてかわいくて…。しかし、秋の始まりを感じるものから、酷暑の終わり感じるものになりましたね。


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十月は白橡。しろつるばみ!

今回のカレンダー制作にあたり、色についての本をあれこれ読んだのですが橡が読めず。橡色は昔からある色で派生色も多くあります。どんぐりのことでした。でも、調べているとどんぐり色も存在するのでまた調べ…橡(つるばみ)族はどんぐりを元に染めた色、どんぐりはどんぐりそのものの色で近年できた色とのこと。なるほどなるほど。

小さい時に拾ったどんぐり、ポケットに入れていたら服が煤汚れた感じになったのは色素のせいなのか土のせいなのか。


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十一月は紅葉。モチーフは紅葉並木。東京に出てきてから秋の紅葉シーズンの並木の美しさに毎年感動しています。東京都のマークが銀杏の葉なのも納得…。都市の中で感じる季節の風景も大好きです。


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そして十二月は墨色。モチーフは冬の夜空です。

星を見るのが小さい頃から好きです。天体や星座に詳しいわけではないのですが、見上げればいつでも美しく輝く星があって、違う世界に飛んでいけるような気がします。冬は空気が澄んでいて見える日も多いからか、見上げる日が多いような気がします。

いつもそこにある安心感と、とてつもなく離れている孤独と、地球の誰しもに平等な星々が好きです。

 

一二枚の絵を一気に描くのはデザイナーとしてはかなり大変でしたが、最近は絵を描くことが前より楽しいです。フリーランスになって10年以上経ち、自分の創作についての方向性も変わってきました。

 

活版印刷の小さなカレンダー、ぜひ暮らしの小さなお供にしてもらえたら嬉しいです。

 

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まんまる〇若林